S&P500のインデックス投資を中心に資産運用する理由

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Mr.老眼の運用方針

Mr.老眼は2021年現在、S&P500のインデックス投資を資産運用の中心にしています。
きっかけはバートン・マルキールの著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読んだことでした。この投資の指南書はちょっとしたきっかけで存在を知ったのですが、出会えて本当に良かったと思う一冊でした。
それはさておき、今回はMr.老眼がS&P500のインデックス投資を資産運用の中心にしている理由について、書いていきます。

S&P500とは。

S&P500とは、米国大型株の動向を表す株価指数です。
正式にはStandard and Poor’s 500といいます。このStandard and Poor’sというのは、様々な金融市場指数を提供する会社です。

S&P500は米国の大型株500銘柄で構成される指数です。大型株とは、時価総額が118億米ドル以上(2021年3月17日以降の基準額)の会社とされており、この時価総額の規模自体は四半期ごとに見直されます。(2021年3月の「S&P米国株価指数メソドロジー」参照)

S&P500の構成銘柄で米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。
時価総額以外の500社の選択基準には、以下のようなものが挙げられています。

・ニューヨーク証券取引所かNASDAQに上場していること。
・米国出身の会社であること。
・直近の四半期および直近の連続4四半期にわたる一般会計原則(GAAP)ベースの利益合計が黒字であること。

この三つ目の選択基準は、業績が悪化すると対象銘柄から外されるということを意味しています。「S&P米国株価指数メソドロジー」によると、「指数の構成銘柄の変更は、必要に応じて行われる。定期的な再構成はない。」とのことで、実際の銘柄の入れ替えを見ても頻繁に行われています。

なお、S&P500が、500社を対象とする現在の形で算出されたのは1957年3月4日からで、基準価格は1941年から1943年の平均値を10として設定されています。
2021年6月時点で4200前後ですので、約80年で420倍に上昇しているということになります。
下のグラフはS&P500の1970年2月から2021年5月までの値の推移をグラフにしたものです。上昇局面と下降局面を繰り返しながら、長期的には上昇を続けていることが分かります。

S&P500に投資するメリットとは。

「米国企業の優良銘柄上位500社選抜」にまるっと投資できる

何と言っても「米国企業の優良銘柄上位500社選抜」にまるっと投資できるという安心感です。
対象銘柄が魅力的であることに加え、500銘柄もの分散投資が手軽にできるというのもポイントです。

日本での生活の中にも米国企業の製品やサービスが浸透しているのは言うまでもありません。
iPhoneを使い、CPUやGPUやOSなど米国企業製品満載のパソコンを使い、Googleで検索してAmazonで買い、NETFLIXを観た感想をTwitterにツイートする。
このように、米国企業の存在は日本でも大変身近なものですし、この数年で必要不可欠な存在にすらなってしまっています。そして、今のところ米国企業の優位性はまだまだ続きそうですし、ますます巨大化していきそうな気がします。

そう考えると、これらの企業に投資できる機会・手段があるのなら、投資しない手はないな、と思うのです。

構成銘柄の見直しが自動的に行われる

S&P500のもう一つの優位性は、構成銘柄の変更が自動的に、しかも頻繁に行われることです。
成長拡大していく企業が現れると、低迷停滞している企業とバトンタッチしてS&P500に組み入れられます。

個別銘柄に投資し、長期保有で資産運用する場合のデメリットの一つに、その銘柄の賞味期限を自分で判断し、これ以上株価が上がらないと思うタイミングで売却しなければならない、ということがあります。
さらに、売却したお金を再投資すべく、他の有望な銘柄を探すことになります。

これらはいずれも相当な手間がかかると同時に、その判断に絶対的な材料や根拠がなく、銘柄の当たり外れや入れ替えタイミングを誤る可能性があります。
この銘柄入れ替えをプロが適切なタイミングで行ってくれるというのは、S&P500の非常に強力なメリットだと考えます。

低コストで運用できる

もう一つS&P500インデックス投資のメリットを付け加えるとすれば、このインデックスに連動するETF(上場投資信託)が極めて低コストで運営されていることです。

個別株への投資と違い、インデックス投資を活用して分散投資する場合、必然的に投資信託やETFに投資することになり、信託報酬などの運営コストがどうしても追加的に発生します。
これはインデックス投資を活用した分散投資の弱点と言えます。

しかしながら、S&P500が世界的に超メジャーな株価指数であることから、これに連動するETFは極めて低コストなものが提供されているのです。
例えばヴァンガード社が提供するVanguard S&P 500 ETF (VOO)の年間経費率は2021年6月現在0.03%です。これだけ低い経費率のETFなら、S&P500のパフォーマンスをほとんどそのまま享受できます。
インデックス投資を活用した分散投資を実施する上で、これだけ低コストのETFが提供されているということは大きなメリットとなります。

S&P500の不安要素とは。

まず、S&P500に限らず、株式市場に対する不安要素を挙げるなら、長期的な世界経済の停滞減速や、急激な気候変動や疫病による世界人口の減少、世界を舞台にした全面戦争の勃発など、いくつも出てきそうです。
そうではなく、株式に投資すると判断した場合、S&P500が他の株式インデックス、例えば日経平均や上海総合指数、イギリスFTSEなどに対してパフォーマンスが長期的に劣る可能性について考えてみます。

S&P500は構成銘柄を米国企業に限定しています。S&P500に独自の不安要素があるとしたら、その部分ということになります。

アメリカ経済の将来性

S&P500の構成銘柄にはアメリカ国内の消費者に限らず、世界市場に事業を展開する会社が多くありますが、一方でアメリカ国内に商品やサービスを提供する会社も多く含まれています。
そのため、アメリカ国内が急速に景気後退し、停滞が長期にわたると、S&P500のパフォーマンスが劣る可能性はあります。
また、アメリカの財政赤字に対する施策として、法人税の増税が進むようなことがあれば、企業利益を圧迫する要因になりますので、S&P500のパフォーマンス悪化につながる可能性はあります。

中国の経済成長

基本的にアメリカの経済的優位は当面変わらないと思いますが、もしアメリカがどこかの国に一位の座を明け渡すことがあるとしたら、現時点で一番可能性が高いのは中国だと思います。
アメリカ政府が国策として自国の大企業を全面的に支援する可能性は高くないと思いますが、中国に関しては自国企業を政府が支援して経済成長を推進していく可能性は十分あると思います。
人口では中国はアメリカを圧倒していますので、中国の生活水準が徐々に上がって行けば、いずれGDPは必然的に逆転するかもしれません。そうなると、S&P500のパフォーマンスが長期的に上海総合指数に劣る可能性はあるかもしれません。

為替リスク

もう一つ、S&P500のインデックス投資をすることの不安要素があります。
S&P500に限った話ではありませんが、アメリカドルベースで運用されている投資信託やETFに投資する場合、資産の円換算額がドル円レートの動向に左右されてしまうという点です。
これは、日本で生活する限り、つまり生活における金銭の消費を日本円で決済する環境にある限り、避けて通れない問題です。

まとめ

優秀な人材がアメリカに集まる現在の状況は、当面続くと思われます。そうなると、米国企業の競争力はまだまだ強化されるのではないかと考えます。

アメリカの人口は2050年までは増加するという予測がありますので、アメリカの経済成長は緩やかに続いていくと思われます。
既に人口が減少局面にある日本において、経済成長が緩やかに続いていくと予想するのは楽観的すぎるかもしれません。

こう考えると、長期保有という視点では、「米国株に全く投資せず、日本株には投資する」という判断は合理的なものではない、と今は考えています。Mr.老眼としては、当面は米国株の比率を日本株より多めに保有する方向で資産運用を進めていこうと判断しています。
そして、米国株なら最強の大型株選抜指数であるS&P500が今のところは無難な選択だと考えています。Mr.老眼も日々学び、実践していきます。