日経平均株価とは?ETFを例に構成銘柄と構成比を検証

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Mr.老眼の運用方針

Mr.老眼は2021年7月現在、米国株をメインに資産運用していますが、その分散投資先として、ポートフォリオの11%を日本株で運用しています。
そしてそのほとんどを、日経平均株価に連動するETFに集約しています。
具体的には、「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (1321)」というETFです。

今回は、このETFを実例として、日経平均株価の構成銘柄や構成比、指数としての特徴などを、改めて検証してみたいと思います。

なお、今回の検証にあたり、日経平均プロファイル、野村アセットマネジメントのホームページとその提供資料を参照させていただきました。

日経平均株価とは。

日経平均株価とは、日本を代表する株価指数として、広く利用されている指数です。
株式投資をしている方で、「日経平均株価」という言葉を見たことも聞いたこともない、という方はほとんどいないと思います。
私も株式投資を始めて20年以上になりますが、その終値を確認しなかった日はほとんどないのではないか、というくらいに馴染みがある指数です。

ところが、恥ずかしながらその中身について確認しようと思ったこともなく、構成銘柄の数が225銘柄であることさえ、本当につい最近知った、という次第です。
(ファイナンシャルプランナーの受験勉強を通じて知りました)

日経平均株価は日本経済新聞社によって算出されており、東京証券取引所第一部に上場する銘柄から選定された225銘柄を対象としています。
算出開始は1950年9月7日で、70年の歴史がある指数です。
指数の算出において、昔の額面制度や株式分割などによる連続性の分断を回避するための仕組みはありますが、基本的な算出の仕組みとしては「株価の単純平均」を採用しています。
このため、株価の高い銘柄による影響を受けやすい指数となっています。
225銘柄の中でも、ファーストリテイリングといった特定の銘柄の影響が非常に大きく反映される指数となってしまっており、その影響については後ほど検証します。

また、この算出方法について改定が行われることが2021年7月5日に日本経済新聞社から発表されましたが、既存銘柄の株価換算については変更しないようです。

日経平均株価を資産運用に活用する方法とは。

日経平均株価に連動する資産運用を実践するために、個人投資家は225銘柄全てを個別に購入する必要はありません。
日本を代表する株価指数ですので、これに連動する投資信託やETFが数多く提供されています。
私が保有する「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (1321)」もその一つです。

NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)

私が運用に活用している「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (1321)」は、野村アセットマネジメントが提供するETFで、日経平均連動型ETFの中で最も売買代金の大きいETFです。
(レバレッジ型を除く)

2001年7月13日から提供が開始され、2021年7月13日時点の純資産総額は8兆1237億円となっています。
信託報酬率は0.198%で、「ダイワ上場投信-日経225」という同業他社の提供するETFの信託報酬率(0.176%)よりは高めですが、売買が活発で流動性が高いという安心感を優先し、「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (1321)」で運用しています。

直近の分配金利回りは1.24%となっています。

下のグラフは、2001年8月以降の値動きをグラフにしたものです。

長期的には最高値の水準を維持しています。

構成銘柄および構成比

構成銘柄とその保有株数などの詳細データが、野村アセットマネジメントのホームページからダウンロードできます。

2021年6月30日時点の上位構成銘柄と、その構成比は以下の通りです。

ファーストリテイリング:10.16%
東京エレクトロン:5.84%
ソフトバンクグループ:5.67%
ファナック:3.26%
KDDI:2.53%
ダイキン工業:2.51%
アドバンテスト:2.43%
エムスリー:2.37%
信越化学工業:2.26%
テルモ:2.19%


良い悪いという話では全くありませんが、「日本を代表する株価指数」の上位構成銘柄はこうなっているのか、と感慨深いものがあります。
思っていたのと全然違う、という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。

例えば、日本を代表する企業として思いつくところでは、ソニーグループが16位で構成比1.31%、トヨタ自動車が17位で構成比1.18%です。
いずれも上位10社には入っていません。

また、銀行業の一番上位を探してみますと、131位に静岡銀行が登場し、構成比は0.10%です。
日経平均株価における銀行業の存在感はほとんど無いも同然といったところです。

ファーストリテイリング依存度の問題点

日経平均株価の構成銘柄において、ユニクロを展開するファーストリテイリングの構成比が10%を超えているというのは、大きな意味があります。
私はこのETFを900万円程度保有していますが、それはファーストリテイリングの株式を間接的に90万円保有しているのと同じです。

日経平均ETFを保有することで日本株への分散投資を実践しているつもりでしたが、これほどファーストリテイリングに比率が偏っているのであれば、本当にその狙い通りの運用ができているのか、疑問が湧いてきます。

例えば、日経平均構成銘柄の構成比における、下位12銘柄は以下の通りです。
(下位1位から順に記載)

三菱自動車工業
東京電力ホールディングス
双日
ユニチカ
スカパーJSATホールディングス
りそなホールディングス
三井E&Sホールディングス
日本板硝子
神戸製鋼所
沖電気工業
関西電力
日本製紙


名の知れた大企業が揃っていますが、これらの12銘柄を合わせた構成比は、実は225銘柄全体の0.09%しかありません。
そして、これら12銘柄が全て倒産して株価がゼロになったとしても、ファーストリテイリングの株価が1%下がるよりも日経平均株価に与える影響は小さいのです。
日経平均株価に与える影響度の観点に限って言えば、この12銘柄は採用されていないのとほとんど変わらない水準です。

もう一つ例を挙げますと、日経平均構成銘柄の下位134社の株価が揃って1%ずつ上がっても、ファーストリテイリングの株価が1%下がれば日経平均株価全体では帳消しになります。
銘柄数で134社、つまり225銘柄のうち6割を超える会社群の影響度と、ファーストリテイリング1社の影響度がほぼ同じというのは、日本を代表する株価指数として機能しているという実感がなくなってしまいます。
日経平均株価は一部で「ユニクロ指数」と言われたりもするようですが、そう言われても仕方ないほど歪んだ指数と言えそうです。

日本株への分散投資を実践しようと考えている場合、そのインデックス投資先として日経平均株価を選択することが本当に正しいのか、他に選択肢はないのか、しっかり調べるべきだったと反省しています。

日経平均ETFに投資するメリットとは。

日本を代表する株価指数に手軽に分散投資ができる

特定銘柄への歪みはあるものの、日経平均株価は日本を代表する株価指数として受け入れられ、幅広く利用されている実績があります。
日本を代表する株価指数に選定されている225もの銘柄に、少額で手軽に分散投資ができるというのが最大のメリットと言えそうです。

これを個別株で実現するためには数十銘柄だけでも多額の資金が必要となり、225銘柄ともなれば手間も大きな負担となります。
現実的にはETFを活用する以外の手段は個人投資家にはほとんど不可能ですし、ETFならコストもそれほどかけずに分散投資を実践できるのです。

日経平均ETFに投資するデメリットとは。

日本の株式市場全体のパフォーマンスが反映されていない

日本株のインデックス投資の本来の目的は、「日本の株式市場全体のパフォーマンスに投資し、なおかつ多くの銘柄にリスクをできるだけ分散してリターンを得ること」だと考えられます。

けれども、日経平均株価は必ずしも「日本の株式市場全体のパフォーマンス」を反映したものとは言えそうにありません
なぜなら、上に検証した通り、ファーストリテイリングの影響度が重すぎるからです。

極端な話ですが、日本の株式市場全体が好調に推移したとしても、万一ファーストリテイリングが倒産すれば日経平均株価は暴落します。
もちろん、ファーストリテイリングが倒産する可能性はほとんどないとは思いますが、その可能性はゼロとは言い切れません。

いずれにしても、日経平均株価という指数がそういう性質のものであるということを理解しておくことは、大事なポイントではないでしょうか。
目的に見合った資産運用が実現できていない可能性がある、という意味で、日経平均ETFへの投資には注意が必要ですし、日経平均株価という指数にはそういう可能性があることをしっかり理解した上で投資する必要がありそうです。

まとめ

日経平均株価の特徴や、その歪みについて検証しました。
日経平均株価というものを何となく雰囲気で知ったつもりになっていましたが、構成銘柄の内訳までしっかり確認することで重要な気付きがありました。

この記事の作成を通じて、私自身も日経平均株価の歪みの度合いには驚きました。
日経平均株価は「ユニクロ指数」だと言われているのは何となく目にしたことはありましたが、改めて自分で検証してみると、日本株への分散投資を目的とした場合、この日経平均株価だけを活用することに疑問を感じています。
少なくとも、もう一つの日本を代表する株価指数であるTOPIX(東証株価指数)についても検証し、日経平均株価との比較をしてみたいと思います。Mr.老眼も日々学び、実践していきます。