Mr.老眼は2021年6月現在、ポートフォリオの9%前後の割合で国内のREITを組み入れ、資産運用しています。
9%というわずかな比率ですが、全体の77%程度を海外株で運用しているので、それ以外の資産としては日本株の12%に次ぐ比率です。
つまり海外株の分散投資先として、日本株に近い比率を国内REITに分散していることになります。
今回はMr.老眼が国内REITをポートフォリオに組み入れる理由について、書いていきます。
REIT(リート:不動産投資信託)とは。
REIT(リート:不動産投資信託)とは「Real Estate Investment Trust」の略で、文字通り不動産投資信託のことです。
投資信託は投資家から集めた資金で資産運用するのですが、REITではその資産運用の対象が不動産物件である、ということになります。
REITが登場する以前は、個人投資家が不動産に投資するのは資金面や知識面、物件選択、換金性といった様々な障壁がありました。REITが登場したことで、不動産投資が少額で可能となり、かつ専門知識も必要なく、多くの物件に分散投資ができ、必要に応じていつでも換金できるようになりました。
さらに、個人投資家が不動産に投資するのはほとんどが住宅物件であって、オフィスや物流施設に投資するというのは、REITという仕組み無しではほとんど現実的ではありません。
また海外の物件への投資というのもほとんど不可能です。
REITを活用することで、不動産投資は様々な用途の物件や海外物件にまで手軽に投資できるものとなり、今では株式や債券に並ぶ、資産運用における有力な選択肢の一つとなっています。
国内REITに投資するメリットとは。
収益が比較的安定している
REITの事業の本質は不動産投資です。
不動産投資の主な収入源は賃貸収入であることから、収益が安定しているというメリットがあります。
不動産投資でも物件用途が異なれば賃貸収入の安定度は異なりますが、特に住宅用は景気に影響される割合が小さいと言えます。
2020年以降のコロナ禍という特殊環境においては、ホテルやオフィス、商業施設は苦戦を強いられる一方、物流施設は活況を呈しています。
しかしながら、この特殊な状況が5年も10年も続くとは思えませんし、通常の環境であればいずれの物件用途においても株式よりは安定した収益を当てにすることができます。
もちろん、株式ほどの値上がり益を国内REITに求めるのは難しいと思いますので、値上がり益と配当利回りのトータルリターンでは株式に分があると思います。
高いリターンを追求するなら株式一択という選択もありだと思いますが、時にやってくる株式市場の暴落時になすすべがありません。
資産運用において、一時的であっても大幅な元本割れを経験するのは耐えられない、という方には、国内REITは向いていると考えます。
ただ、株式と比較して値動きのブレ幅が小さいという程度の問題であって、REITも元本割れの可能性はありますので注意が必要です。
海外株の分散先として優れている
Mr.老眼は海外株のインデックス投資を中心に運用しており、その主な狙いは配当利回りよりも値上がり益です。この運用方針は今のところ資産運用の手法として最良の部類だろうと確信しています。
ただ、海外株は安定して右肩上がりに上昇してくれるわけではなく、時に暴落局面を経験します。
そういった局面で、ポートフォリオの100%を海外株にしていると、自分の性格的に身が持たない気がしています。
「運用資産全体でかなりダメージを受けたけれども、それほど下がっていない保有資産がある」という、自分を慰めてくれるアイテムが欲しいと思うのです。
日本株は海外株との相関が大きいので、上がるときも下がるときも同じような値動きをしがちです。
ですので、この意味では日本株は海外株の分散投資先としては合格とは言えません。
その点、国内REITは海外株の値動きとの相関があまりないことから、分散先として魅力があります。
国内REITを保有することで、Mr.老眼にとって精神安定剤の役割を果たしてくれることを期待しているのです。
情報を入手しやすい
Mr.老眼が2021年現在、資産運用に海外REITを使わず、国内REITに絞っている理由は、不動産市況の情報を入手しやすいからに過ぎません。
(国内REITは為替の影響を受けないというメリットも大きいですが)
日本の不動産事情はニュースを見れば頻繁に入ってきますし、実際に普段目にすることが多い身近な存在です。
S&P500の記事でも触れましたが、生活に身近な存在というのはやはり投資する上で手を出しやすいという側面はあると思います。
特に投資の初心者が投資を継続するためには、分からないものに投資しないというのは鉄則です。
そういう意味で、Mr.老眼は海外の不動産事情にほとんど馴染みがありませんし、海外の主要都市におけるワンルームの相場の肌感覚なども全くありません。ですので、海外REITを分散投資先として活用する場合は、ある程度海外の不動産事情について勉強してからにしようと思います。
現時点では、そこまでの手間をかけて資産運用に海外REITを組み入れる必要性は感じておらず、国内REITで十分かなと考えています。
国内REITの不安要素とは。
物件用途によって収益動向が全く変わってしまう
新型コロナウィルスの流行で明らかになったことは、予想もしない事態は起こりうるということと、それによって収益の明暗がはっきりと分かれることがある、ということです。
これは企業の業種別の収益動向もそうでしたが、国内REITの物件用途別でも同じことが言えます。
コロナ禍では、ホテルの業績が壊滅的になり、商業施設とオフィスが大きく落ち込むことになりました。
一方、住宅はほとんど影響なく、物流施設はネット通販の需要急拡大に伴い業績を伸ばしました。
このように、物件用途によって収益動向がまるで違ったものになってしまい、それはまたいつどのような原因で起こるか予測できません。
従って、国内REITの個別銘柄を個人投資家が選別するのは難しく、思わぬ当たり外れを呼ぶ可能性があります。
設立母体である不動産会社とリート法人との関係性
東京証券取引所に上場している国内REITの銘柄数は、2021年6月22日の東海道リート投資法人の上場で62銘柄になります。
これらのリート法人の多くは、設立母体が不動産会社であり、所有物件もその母体企業から購入したものが多いようです。
そうすると、その物件が適正価格で取引されたのかどうかなど、「母体企業とリート法人との取引上の牽制」が適切に機能しているのかは不透明です。
中には法外な価格で購入させられ、不採算物件を抱えているリート法人もあるかもしれませんが、個人投資家にはそこまで各リートの各物件まで精査する方法はありません。
この点からも、国内REITの個別銘柄の投資案件としての是非を個人投資家が判断するのは、個別株と同じように難しいものと考えられます。
国内REITでもインデックスを活用:「東証REIT指数」
国内REITの不安要素は、個別銘柄の選別の難しさに尽きます。
それでもREITという資産クラスが株式の分散投資先として有用であることは確かだと考えます。
そこで選択肢として考えられるのが、国内REITのインデックス投資です。
国内REITには、上場している全銘柄を対象とした時価総額の加重平均を算出する「東証REIT指数」というものがあります。
この東証REIT指数に連動するETFが複数提供されており、これに投資すれば国内REIT全銘柄に投資するのと同じ効果があります。
これにより、国内REITの分散投資を実現し、個別銘柄の当たり外れを回避できるのです。
Mr.老眼は国内REITの半分をインデックス投資に回していますが、将来的には国内REITは全てインデックス投資に集約しようと考えています。
まとめ
REITの仕組みが日本に誕生したのは2001年。
株式や債券といった伝統的な資産運用先に比べ、歴史の浅い商品です。
それでも登場して20年が経過し、既に資産運用の選択肢の一つとして有力な資産クラスとなっています。
昨今の超低金利政策の影響で、債券は投資先としての魅力がほとんどなくなっています。
その中で、比較的安定した利回りが見込めるREITをポートフォリオに加えることは、海外株の分散投資先としてなかなか優秀な運用方法だと実感しています。
将来的には日本株との比率を逆転させることも見据え、長期目線で国内REITの運用に取り組んでいくつもりです。Mr.老眼も日々学び、実践していきます。