【VGTとQQQ】どちらを資産運用に取り入れるべきか、比較検証してみました。

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Mr.老眼の運用方針

私の資産運用銘柄の一つに、VGTというETFがあります。

このVGTは、米国のITセクターに連動するETFです。

私のポートフォリオに占める割合としてはそんなに大きなものではないので、深く考えずにほったらかしにしている銘柄であり、あまりレビューもしたことがありません。

しかし、改めて考えてみると、ITセクターの株価に連動するVGTは、ナスダックという市場特性によりIT関連比率が高いQQQの値動きに近いのではないか、と思い当たりました。

QQQについて検証した記事を過去に書きましたが、その際、VGTとの比較はしませんでした。

今回は、VGTの概要をまとめ、QQQと比較検証します。

なお、今回の比較にあたり、アメリカのヤフーファイナンス、各ETFの発行会社のホームページを参照させていただきました。

VGTとは。

VGT(正式名称:Vanguard Information Technology ETF)米国株式市場のITセクターの株価に連動するインデックスETFです。
世界2位の投資信託提供会社であるバンガード・グループによって、2004年1月から提供されています。

VGTは、「MSCI US Investable Market Information Technology 25/50 Index」をベンチマークとして採用しています。
(ちなみに、この指数の25/50というのは、1銘柄の構成比率の上限を25%に制限し、構成比率が5%を超える銘柄の合計構成比率の上限を指数全体の50%に制限しているという意味だそうです。)

このインデックスは、米国上場企業のITセクターに分類される銘柄を対象に、大型株、中型株、小型株を含む銘柄群で構成されています。

なお、2021年11月現在、ITセクターに分類されているビザ、ペイパル、マスターカードは、2022年に金融セクターに移行する可能性があるそうです。

VGTは2021年9月30日時点で342銘柄を保有するETFです。
銘柄別では以下の2社の保有比率が突出しており、3位のエヌビディアは4.42%となっています。
(比率は2021年11月9日時点)

アップル(20.06%)
マイクロソフト(17.10%)


この2社で37%を占めることから、指数の動向としてはこの2社の株価の影響が大きいと言えそうです。
もしビザ、ペイパル、マスターカードの3社が本当に金融セクターに移行すれば、この2社の比率はさらに上昇することになります。

QQQとは。

QQQ(正式名称:Invesco QQQ Trust)は米国株式市場のナスダック100指数に連動するインデックスETFです。
インベスコという運用会社によって1999年3月10日より設定されたETFです。
資産運用残高で世界5位(2021年11月時点)と人気のあるETFです。

ナスダック100指数に連動するように運用されていますが、このナスダック100指数は、ナスダックに上場する銘柄のうち、金融銘柄を除く時価総額上位100銘柄を対象としています。

2021年11月8日のデータでは、IT関連銘柄が全体の49.70%、通信関連銘柄が18.15%、一般消費財が18.24%となっており、IT関連の比率が高いのが特徴です。

VGTとQQQの比較。

VGTとQQQの違いについて、いくつかの観点から比較していきます。

分散投資の観点では一長一短

まずは分散投資の観点で比較していきます。

銘柄数ではVGTが342銘柄、QQQが102銘柄と、VGTの方が多くなっています。

対象銘柄の企業規模については、QQQは時価総額の大きい企業に対象を絞っている一方、VGTは大型、中型、小型株を含んでいるため、企業規模の面ではVGTの方が分散効果が高いことになります。

対象業種としては、QQQはIT関連銘柄への偏りが大きく、また金融業種を一切含んでいないという点はあるものの、VGTがITセクターのみを対象としたETFであることと比較すると、QQQの方が幅広い業種を対象としています。

特にQQQに含まれている主要銘柄のうち、一般消費財に分類されるアマゾンやテスラ、通信業に分類されるグーグルといった銘柄は、ITセクターに分類されていないため、VGTには含まれていません。

従って、対象業種の広さではQQQの方が分散効果は高いことになります。

リターンとリスクの比較

次に、過去のリターンとリスク(価格のばらつき)の推移について確認していきます。

<VGTのリターンとリスク(年率平均)>

  過去5年 過去10年
リターン 30.78% 23.28%
リスク 17.83% 16.40%

 

<QQQのリターンとリスク(年率平均)>

  過去5年 過去10年
リターン 27.72% 22.53%
リスク 16.76% 15.55%


上の表の通り、VGTはQQQよりもリスクはわずかに高めではあるものの、リターン実績ではQQQを上回っています。

価格の推移

過去5年の価格比較については、下のグラフの通りです。
赤いグラフがVGT青いグラフがQQQの価格推移です。

(ヤフーファイナンスにて作成)

過去5年を比較すると、VGTの上昇率の方が高くなっています。

ETFとしての規模

QQQの方が規模が大きく、資産運用残高で世界5位(2021年11月時点)となっています。

一方、VGTは資産運用残高で世界23位(2021年11月時点)となっており、資産残高ではQQQのおよそ4分の1となっています。

とは言え、VGTの規模もETF全体では上位の部類であり、運用資産としての優劣という観点では意味のある差ではないと言えます。

運用経費はVGTに軍配

今度は運用経費の比較です。

運用経費は、VGTが0.1%であるのに対し、QQQは0.2%となっています。

大きな差ではありませんが、それでも決してバカにできない差だと感じますし、運用資産としての優劣という意味では明らかに差があると言えそうです。

主要銘柄の比較

それぞれのETFの上位銘柄は、以下の表の通りです。
(アルファベットについては、議決権ありと議決権なしを合算しています)

(2021年11月9日時点)

順位 VGT QQQ
銘柄 構成比 銘柄 構成比
1位 アップル 20.06% マイクロソフト 10.77%
2位 マイクロソフト 17.10% アップル 10.63%
3位 エヌビディア 4.42% アルファベット 7.90%
4位 ビザ 2.87% アマゾン 7.72%
5位 ペイパル 2.55% テスラ 5.41%
6位 アドビ 2.51% エヌビディア 4.97%
7位 マスターカード 2.42% メタプラットフォームズ 3.41%
8位 セールスフォース 2.04% アドビ 2.07%
9位 シスコシステムズ 1.97% ネットフリックス 1.88%
10位 インテル 1.73% コムキャスト 1.60%

どちらに投資すべきか?

VGTとQQQ、どちらに投資すべきか?

結論から言うと、私ならVGTを選択します。

個人的な判断根拠としては、まずは少しでもコストが低い方が運用資産としては優秀だと考えています。
その点で、運用経費が0.1%低いVGTの方が優れています
10年保有すれば複利で1%以上の運用差が出るというのは、決して小さな差ではありません。

また、過去10年や過去5年のリターンでは、わずかにVGTの方が上回っているというのも、判断根拠の一つとなります。

次に、VGTとQQQにおける、投資目的の違いについても触れておきます。

VGTはITセクターに限定されたETF、QQQはナスダック市場の上位100銘柄(金融セクターを除く)を対象としたETFです。
「ITセクターの将来性」に賭けるというのは個人投資家の意思として合理的だと思うのですが、「ナスダックという市場特性」に賭けるというのは、どうも中途半端な気がするのです。

というのも、ナスダックはかつて中小の新興企業が上場する市場だったとはいえ、創設50年となった現在では、新興企業ばかりではなく、アップルやマイクロソフトといった歴史のある大企業が上位を占めています。

さらに、ナスダックはセクターを絞り込んだ市場という訳でもないので、QQQにはペプシコ(2017年にNY証券取引所からナスダックへ上場先を変更)やコストコといった生活必需品に分類される銘柄も上位に含まれています。
QQQのセクター別構成比を見ると、一般消費財と生活必需品を合わせると20%を超える構成となっているのです。

分散効果を犠牲にして、「自分が有望だと信じる特定分野」に集中投資したい、という狙いで投資先を選定するのであれば、ITセクターという特定業種に分野が限定されているVGTの方が、より明快な投資先に思えます。

これらの理由から、私ならQQQよりVGTを選択します。

「ITセクターも有望だと思うが、グーグルやアマゾンやテスラにも手を付けておきたい」という投資家がQQQを選ぶのだと思いますし、実際にQQQの方が人気があるというのはそういうことなのでしょう。
グーグルやアマゾン、テスラについては、いずれも「個別銘柄として押さえておきたいが、株価の単価が高くて買いづらい」という難点があることも、QQQに人気が集まる要因の一つかもしれません。

まとめ

今回はVGTとQQQを比較検証してみました。

改めて整理してみると、私としてはQQQよりもVGTの方が魅力的かな、という結論に至りました。

以前のQQQについての記事にて、「(QQQは)米国個別株の乗り換え先としては有力」と書きましたが、将来個別株を整理するとしたら、マイクロソフトとエヌビディアはVGTに乗り換える方が良さそうです。

そうなると、VGTではカバーできないアマゾンとグーグルはどうしましょうか。

そもそも、ギャンブル志向の塊である米国個別株について、インデックスETFにさっさと入れ替える踏ん切りが、私にはどうにもつきません。
個別株の扱いについては、悩みが尽きないようです。ということで、Mr.老眼も日々学び、実践していきます。