「退職金の資産運用は必要か?」を見て、なるほど、退職金も資産運用が必要なのか、と思った方、けれども資産運用って何なのか良く分からないのではないでしょうか。Mr.老眼も日々考え実践していますが、改めて資産運用を定義しろと言われるとものすごく難しい。ただ、これまでの情報収集と経験から、こういうのは資産運用とは言えないな、というものは分かってきました。
資産運用に見えて資産運用ではないものを挙げることで、資産運用というものが浮かび上がってくると思います。世間のイメージに惑わされないよう、整理していきます。
普通預金は資産運用ではない。
給与や賞与や退職金の振込先が銀行口座なので、そのまま銀行に預けておこう、という感覚で普通預金を保有している方は多いのではないでしょうか。ほとんどの金融資産が普通預金であるという人も少なくないようです。
けれども銀行にとってみれば、皆さんの預金を元手にお金を貸し出し、その利息を収益源として事業をしているのです。見方を変えると、普通預金は皆さんが銀行にお金を貸しているのと同じです。
だとするとこれほど利回りの悪い貸出先は他にありません。現在の普通預金の利息はほとんどの銀行が0.001%。元本割れしないというメリットはあるものの、全く増える見込みのない運用先です。また万一銀行が倒産すると1000万円を超える部分は返ってきません。さらにインフレが進むと預金の価値はどんどん目減りしていきます。
普通預金は資産運用においてリスクを減らす手法として活用することはできますが、とはいえ必要以上の資金を普通預金に眠らせておくのは大変無駄なことなのです。
株式投資で儲けるのは資産運用ではない。
「株式投資で儲けるのは資産運用ではありません」と書くと、資産運用のプロから「お前本当にライフプランナーの資格持っているのか?」と怒られそうです。それでもMr.老眼としてはこれだけは伝えたい。「儲けようとして手を出すものは株式投資であれ何であれギャンブルである」と。
資産運用はそういうものではありません。資産運用とは、金融資産を活用し、時間をかけて地道に稼ぐものです。儲けると稼ぐは違います。稼ぐというのは働いて対価を得ることですよね。資産運用とは、金融資産を労働力として活用し、しっかり稼いでもらうことです。
株式投資はその勤め先として優秀なジャンルではあります。ただ、儲かったら売るのではなく、長く保有することで時間をかけて地道に稼ぎ、資金が必要な時に必要な額だけを現金化するのが資産運用だと考えます。
自分がよく分からないものに投資するのは資産運用ではない。
自分がよく分からないものに投資するのは資産運用ではありません。ただこれには続きがあります。「そうは言っても」です。
資産運用とは金融資産を労働力として活用するということだと書きましたが、そう考えると、稼ぎの良い優秀な「勤め先」を見定める必要があります。ところが、退職まで勤め上げた方々にはこういう経験があるはずです。「勤め先や職場がどういうものかは実際に勤めてみないと分からない」と。確かにその通りです。
資産運用もこれと似たような側面があります。実際に投資することで投資先の性質をより深く学ぶことができます。そして運用して時間が経ってくると「この運用先は思ったほど稼ぎがないな」「こっちの運用先に比重を掛ける方が良さそうだな」といったような感覚を肌で感じるようになってきたりします。結局やってみないと分からないし、やってみて違うと感じたら修正しなければいけません。
それでも投資先について事前にできる限り調べることは重要です。特に大切なのは、その投資先がどういう要因で上がったり下がったりするのか、くらいは理解しておくということです。これが分かっていれば、予想と違ったときに修正するのか維持するのかの判断基準となります。ですので、「よく分からないもの」ではなく「ある程度理解できているもの」を勤め先として選定しましょう。
まとめ
「資産運用=株式投資=ギャンブル」という世間のイメージは根強いものがあります。それ故に、これを毛嫌いして預金以外に何もしない人は大勢います。これは本当にもったいないです。逆にギャンブルの感覚で株式投資にのめり込んでしまう人は危険です。特に退職金の資産運用を考える段階にいる方なら尚更です。
けれども、資産運用=金融資産を労働力として活用し、地道に稼ぐと考えれば、毛嫌いするようなものでもありませんし、不必要に怖がることもありません。普通預金は労働条件が悪い勤め先と考えれば、他の勤め先も探してみよう、と思うのではないでしょうか。
今は様々なジャンルの投資先(=金融資産の勤め先)がありますし、証券会社に口座を開くのもそれほど手間がかからない、便利な世の中です。そしてそれぞれの投資先についての情報もネットで簡単に収集できます。しっかり準備して、気を楽にして資産運用を始めてみませんか。Mr.老眼も日々学び、実践していきます。