Mr.老眼は2021年6月現在、ポートフォリオの2.7%というわずかな比率ですが、VEAというETFを組み入れ、資産運用しています。
VEAは米国以外の先進国のインデックスに連動するETFで、米国株の分散投資先として採用しています。
今回はMr.老眼がVEAをポートフォリオに組み入れる理由について、改めて検証してみたいと思います。
VEAとは。
VEAは正式にはVanguard FTSE Developed Markets ETFというETF銘柄のことで、VEAはこの銘柄のティッカーシンボルです。
このETFは、米国を除く先進国株式のインデックス連動型ETFです。
世界2位の投資信託提供会社であるバンガード・グループによって、2007年7月から提供されています。
米国を除く先進国株式のインデックスには「FTSE Developed All Cap ex US Index」を採用しています。このインデックスについて、簡単にまとめておきます。
「FTSE Developed All Cap ex US Index」について
「FTSE Developed All Cap ex US Index」はFTSEインターナショナルというロンドン拠点の株価指数算出管理会社によって提供されている指数です。
Developedとありますように、先進国の株価動向を表す指数です。
またex USとは、米国を除くという意味です。
24か国の株式を対象としており、主要国と時価総額割合は以下の通りです。
(2021年5月31日時点のファクトシート参照)
日本(20.66%)
イギリス(13.02%)
カナダ(9.24%)
フランス(8.46%)
ドイツ(7.57%)
この5カ国で60%程度を占めています。
All Capとは、大型株、中型株、小型株を含む指数であることを示しています。
2021年5月31日時点で3936銘柄という多くの銘柄を対象とする指数ですが、銘柄別では保有比率が1%を超えているのは以下の4銘柄です。
ネスレ(1.46%)
サムスン電子(1.44%)
ASML(1.13%)
ロシュ(1.03%)
この4社合計でも5%程度しかありませんので、分散度の高いインデックスと言えそうです。
ちなみに5位はトヨタ自動車(0.87%)です。
VEAの運用状況
VEAの資産総額は2021年5月31日時点で1588億ドルと、世界的に規模の大きいETFの一つです。
バンガード・グループのVEAの紹介ページによると、2021年5月31日時点の上位5カ国の国別配分は以下の通りとなっており、元となる指数をかなり正確にトレースしています。
日本(20.7%)
イギリス(13.0%)
カナダ(9.2%)
フランス(8.4%)
ドイツ(7.6%)
経費率は0.05%で、バンガード・グループの紹介ページによれば「同様の平均的なファンドの経費率は0.95%なので、当社がお得ですよ」とのこと。
直近の分配金利回りは2.03%となっています。
下のグラフは、2007年8月以降の値動きをグラフにしたものです。
ご覧の通り、リーマンショック直前の高値を2021年5月末時点でようやく超えたという状況です。
同期間のS&P500の値動きのグラフを下に示しますが、パフォーマンスの差は歴然としており、この期間はS&P500の圧勝となっています。
VEAに投資するメリットとは。
米国株の分散投資先として効果的な選択の一つ
米国株をポートフォリオに組み入れている個人投資家にとって、その分散投資先として真っ先に思い浮かぶのが「米国以外の先進国株式」なのだろうと思います。
そういう目的の方にとって、VEAは非常に効果的な分散投資先と考えられます。
米国株中心のポートフォリオにVEAを加えることで、先進諸国の株式を手軽に網羅できるからです。
これがVEAに投資する最大のメリットと言えるでしょう。
低コスト
VEAの経費率は0.05%とかなりの低コストで提供されています。
ただ、現時点ではステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)社が運用している、SPDWという同種の先進国株式ETFの経費率が0.04%で提供されています。
SPDWとVEAで組み入れ銘柄はあまり変わらないようです。
コスト面だけを考えると、今ならSPDWを選ぶかもしれません。
VEAに投資するデメリットとは。
日本株を多く含んでいるので、場合によっては分散投資の効率が悪くなる
今回VEAを調べてみて、国別配分では日本が一番多く、20%を占める、ということが分かりました。
この事実について、冷静に考え直してみる必要がありそうです。
Mr.老眼のポートフォリオはS&P500という米国株インデックスが大半ですが、その分散投資先として一番配分が大きいのは日経平均連動型ETFです。
つまり、国別投資先としてアメリカの次に日本株を多く保有していることになります。
日本株をある程度保有している理由は、やはり市場に対する理解度や情報収集の頻度が高いことと、日本円ベースの運用資産を多めに確保したいという思いがあるからです。
このため、世界の平均的な個人投資家と比較すると、日本株への配分が高くなるのは仕方ないところです。
そして、分散投資の効率を考えると、「米国株」「日本株」「新興国株」と分散した次の投資先候補は「欧州株」と考えるのが自然ですし、日本株の構成比が高い場合は尚更です。
にもかかわらず、ここでVEAという「日本を含む先進国株」をポートフォリオに加えてしまうと、分散効果が限定されてしまいます。
何故なら、日本株だけが暴落したときに、VEAはその影響を受けて下落することになり、折角の分散先が共倒れしてしまうからです。
そう考えると、今のポートフォリオを補完する意味では、「日本を含む先進国株」を「欧州株」に入れ替えることが分散投資として正しい選択のように思えてきます。
日本株だけにこだわって保有する必要性を感じていない人(例えばアメリカの個人投資家など)が、「日本株」「欧州株」をまとめて保有したいと考えたときに最も威力を発揮するのがVEAなのだと思います。
なお、VEAを手放して「欧州株」に切り替えると、カナダ、オーストラリア、韓国がポートフォリオから外れてしまう、という課題はあります。
それでも、日本株への投資が重なってしまうという分散効率の悪さを回避する方が、優先度が高いのではないかと思い始めています。
為替リスク
アメリカドルベースで運用されている投資信託やETFに投資する場合の不安要素は、資産の円換算額がドル円レートの動向に左右されてしまうという点です。
S&P500の記事にも同じことを書きましたが、外貨建ての資産を保有する場合には全て為替リスクが伴います。
これは、日本で生活する限り、つまり生活における金銭の消費を日本円で決済する環境にある限り、避けて通れない問題です。
そして、VEAの場合はこのデメリットは特別な意味を持っています。
それは、VEAには日本株が20%含まれている点です。
つまり、もともと日本円の資産をわざわざアメリカドルに変換した資産を保有するという、日本人にとって極めて効率の悪い行為を伴うことです。
為替リスクの点から見ると、VEAは他のドル資産よりも複雑なデメリットを抱えていると考えられます。
まとめ
今回VEAについてまとめましたが、改めて自分のポートフォリオを考え直すような気付きがありました。
日経平均インデックスとVEAを同時に保有することの意味について、これまでは深く考えていなかったのだと、反省しています。
やはり、分散投資としては効率が悪く、失敗だったと考えた方が良さそうです。
さて、改めて自分のポートフォリオについての方針を整理してみると、やはりVEAを何らかの「欧州株」インデックス連動型ETFに乗り換えた方が正解だと思います。
次は適切な「欧州株」インデックスのETF銘柄を、失敗しないように探していきたいと思います。Mr.老眼も日々学び、実践していきます。