米国株のインデックス投資先として最も人気のあるインデックスはS&P500ですが、これよりも更に過去のリターンが高い米国株のインデックスがあります。
それは、ナスダック100指数です。
過去のリターンを見ると、ナスダック100指数を運用先に加えた方が良いのではないかと思えるほど、魅力的なリターンとなっています。
このナスダック100指数に連動するETFとして最も買われているのが、QQQです。
今回は、このQQQについて、その特徴を確認し、S&P500に連動するETFであるVOOと比較検証していきます。
なお、今回の比較にあたり、アメリカのヤフーファイナンス、各ETFの発行会社のホームページを参照させていただきました。
QQQとは。
QQQ(正式名称:Invesco QQQ Trust)は米国株式市場のナスダック100指数に連動するインデックスETFです。
インベスコという運用会社によって1999年3月10日より設定されました。
資産運用残高で世界5位(2021年9月時点)と人気のあるETFです。
QQQはナスダック100指数に連動するように運用されていますが、このナスダック100指数は、ナスダックに上場する銘柄のうち、金融銘柄を除く時価総額上位100銘柄を対象としています。
2021年10月4日のデータでは、IT関連銘柄が全体の48.37%、通信関連銘柄が19.46%、一般消費財が17.33%となっており、IT関連の比率が高いのが特徴です。
QQQとVOOを様々な観点から比較。
VOOはS&P500に連動するETFで、私のポートフォリオの主力投資先です。
QQQがVOOとどのような違いがあるETFなのか、いくつかの観点から比較していきます。
分散投資の観点ではVOOが優位
まずは分散投資の観点で比較していきます。
銘柄数ではQQQが102銘柄、VOOが507銘柄と、当然ですがVOOの方が多くなっています。
対象銘柄の企業規模については、いずれも時価総額の大きい企業に対象を絞っているため、企業規模において分散効果の優劣は無さそうです。
対象業種としては、QQQは金融業種を一切含んでいないこともあり、またIT関連銘柄への偏りもQQQの方が大きいことから、業種の分散効果としてもVOOの方が幅広い業種へ投資できます。
最後に企業の国籍ですが、VOOはアメリカの会社に限定されている一方、QQQにはアメリカ以外の国の企業も、ナスダック100指数の条件に該当する企業は含まれています。
そのため、企業の国籍という観点ではQQQの方が分散範囲が広くなります。
リターンとリスクの比較
次に、過去のリターンとリスク(価格のばらつき)の推移について確認していきます。
<QQQのリターンとリスク(年率平均)>
過去5年 | 過去10年 | |
---|---|---|
リターン | 27.98% | 21.25% |
リスク | 16.89% | 15.68% |
<VOOのリターンとリスク(年率平均)>
過去5年 | 過去10年 | |
---|---|---|
リターン | 17.60% | 14.80% |
リスク | 14.99% | 13.59% |
上の表の通り、QQQはVOOよりもリスクは高めではあるものの、リターン実績ではVOOに圧勝しています。
運用経費はVOOに軍配
今度は運用経費の比較です。
運用経費は、VOOが0.03%と超低コストであるのに対し、QQQは0.2%となっています。
0.2%自体は決して高いわけではありませんが、やはり比較相手のVOOが超絶低コストですので、これはVOOに軍配が上がります。
QQQだけに採用されている銘柄
最後に採用銘柄の違いについて確認していきます。
2021年9月のデータでは、VOOに含まれずQQQだけに採用されている銘柄は以下の22社となっています。
MercadoLibre, Inc.(MELI)
南米諸国でECサイトを運営
ASML Holding N.V.(ASML)
半導体製造装置メーカー
Zoom Video Communications, Inc.(ZM)
Web会議サービスZoom
JD.com, Inc.(JD)
中国でECサイトを運営
Lululemon Athletica Inc.(LULU)
スポーツ衣料小売
DocuSign, Inc.(DOCU)
電子署名サービス
Marvell Technology, Inc.(MRVL)
半導体メーカー
Atlassian Corporation Plc(TEAM)
ソフトウェア設計開発
Workday, Inc.(WDAY)
企業向けクラウド型アプリケーション
CrowdStrike Holdings, Inc.(CRWD)
サイバーセキュリティ
Keurig Dr Pepper Inc.(KDP)
飲料メーカー
Match Group, Inc.(MTCH)
マッチングアプリ
Baidu, Inc.(BIDU)
中国検索エンジンの最大手
Pinduoduo Inc.(PDD)
中国でECサイトを運営
Okta, Inc.(OKTA)
クラウドID管理
Peloton Interactive, Inc.(PTON)
インタラクティブフィットネスプラットフォーム提供
Seagen Inc.(SGEN)
医療バイオテクノロジー
NetEase, Inc.(NTES)
ネット関連サービスプロバイダ
Sirius XM Holdings Inc.(SIRI)
アメリカ衛星放送会社
Splunk Inc.(SPLK)
ビッグデータ分析ソフト
Check Point Software Technologies Ltd.(CHKP)
サイバーセキュリティ
Trip.com Group Limited(TCOM)
旅行予約サイト
これらの銘柄はVOOではカバーできませんので、これらの銘柄に魅力を感じる場合はQQQへの投資は有効となります。
私のポートフォリオにQQQを組み入れるとすると?
ここからは私自身のポートフォリオ戦略の話となります。
私のポートフォリオの現時点の方針として、運用資産全体に占める米国株の比率そのものについては、変更しないことを優先したいと思います。
そうなると、今保有している米国株銘柄から、一部をQQQに入れ替えるということになります。
手法としては、次の二つ(もしくはその両方を組み合わせる)がありそうです。
手法1:VOOの一部をQQQに入れ替える
まず考えられるのは、現在の主力インデックス投資先であるVOOの一部をQQQに入れ替える手法です。
QQQにVOO並みか、それ以上の魅力を感じている場合、有力な手法となります。
ここまでこの二つのETFを比較した通り、分散投資の優位性でVOOが勝ることと、経費率がVOOの方が圧倒的に低いことから、個人的には現時点でQQQにVOO並みの魅力を感じてはいません。
過去のリターンの高さでQQQがVOOを圧倒しているという点を考慮しても、やはり米国株インデックス投資という観点では、VOOの安心感がQQQを上回っていると感じます。
従って、この手法でのQQQの採用は、現時点では見送りと考えています。
手法2:米国個別株をQQQに移行する
もう一つは、現在保有している米国個別株をQQQに移行する手法です。
そもそも、個別株は資産運用に向いていないと主張しておきながら、ギャンブル的な味わいに憑りつかれ、長らく整理できずに保有している個別株達です。
その個別株の欠点が「リスク(価格のばらつき)が大きいこと」と考えているのであれば、少なくとも個別株よりはリスクが小さいと思われるQQQへの移行は、合理的な手法だと言えそうです。
もちろん期待リターンとのバランス次第だと思いますが、現在保有している4つの銘柄(マイクロソフト、グーグル、アマゾン、エヌビディア)は、QQQの主力銘柄として含まれています。
これらの銘柄に加え、VOOに含まれていない成長銘柄への分散投資もできるQQQは、懸念材料であった個別株の移行先としては、十分検討に値するものと思えてきます。
あとはQQQにかかる0.2%という運用経費をどう考えるか、というところでしょうか。
個人的には、インデックス投資のETFとして運用経費が0.2%というのは、結構躊躇する水準だと判断しています。
(当然ですが、個別株では保有コストはかかりませんので)
まとめ
今回はQQQについて、投資対象として様々な角度から検証してみました。
個人的な観点についても検討した結果、QQQを自分のポートフォリオに組み入れるかどうかについては、正直言うとまだ全然まとまっていません。
現在保有している米国個別株の乗り換え先としては有力だという結論には至りましたが、問題はそこから先です。
一つ目の問題は、やはり少し高めの運用経費0.2%というのが引っかかるということです。
保有しているだけで運用利回りが0.2%目減りしてしまうというのは、やはり悩ましい問題です。
もう一つの問題は、そもそもこれまで捨て切れなかったギャンブル志向の塊である、4つの米国個別株を本気で手放す気があるのかどうか、ということです。
さっさとインデックスETFに入れ替えた方が良いということは十分認識しているのですが、やはり個別株には当たったときの気持ち良さがあります。
うーん、資産運用って本当に難しいです。
QQQの採用については、もう少し悩み続けることにしてみます。ということで、Mr.老眼も日々学び、実践していきます。